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- 芸能 - ZAKZAK by夕刊フジ
雨後のタケノコのごとくアイドルの様変わりが著しい中で、日本より欧米で人気が沸騰しているアーティスティックな3人組がいる。メタルダンスユニットのBABYMETAL(ベビーメタル)だ。
黒と赤が基調の、ゴシック要素を取り入れた衣装を着た、かわいい女の子3人が激しく踊りながらメタルをシャウトする。メンバーはスゥメタル(17)、ユイメタル(15)、モアメタル(15)。
3人をサポートするバックバンドメンバーたちは、顔から首までを白く塗り、顔には目の周りを黒く塗る“コープス・ペイント”と呼ばれるメークを施している。音楽とビジュアルのギャップの新しさがおもしろい。
きゃりーぱみゅぱみゅや、ももいろクローバーZなども最初は海外の方が人気は高く、ある意味、逆輸入のような形で日本でも大人気に。この3人組も日本以上に欧米で大ブレークしている。
アイドルとメタルの融合をテーマに結成された3人組のBABYMETALは、2010年のデビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が評判を呼び、そのミュージックビデオが動画サイトのYouTubeにアップされると、ほどなく130万回以上の視聴を記録。その多くが欧米からのアクセスだったこともあり、人気のほどが話題になった。
ただ、当時はメタルユニットとしての音楽性での人気というよりも、少女アイドルグループ人気だったといえる。
13年から国内外の音楽フェスに参加し始めると、一気にメタルユニットとして評価され始める。それを決定的にしたのが「サマーソニック 2013」。メタル界のカリスマ的存在であるメタリカのラーズ・ウルリッヒがBABYMETALのステージを鑑賞し、話題になった。
以降、14年の初アルバム「BABYMETAL」が7カ国のiTunes Rock Albumチャートで1位、総合でも46位を獲得。全米ビルボード総合にもチャートイン。イギリスの有名音楽誌「KERRANG(ケラング)!」に取り上げられ「世界的な流行現象に発展するかもしれない」と称賛される。
その後、夏にはパリ、ドイツのケルン、イギリス、米ロサンゼルス、カナダなどでワールドツアーを敢行。特にUKのフェスでは6万5000人の観衆を集め、人気の高さを見せつけた。
過去、海外公演で会場を満員にした日本人は何組もいるが、多くの場合、特別にプロモーションをしたり、日本からファンを連れて行ったりと、純粋に受け入れられたケースは少ない。だから、長続きしない。
ところがBABYMETALは何も特別な宣伝活動をしていないのだ。
そのアーティスト性、パフォーマンスで、
昨年はレディー・ガガの北米ツアーのサポートアクトに抜擢されてもいる。
ロックシーンでは、今、最も注目を集める日本人ユニットなのだ。
今年も5月から欧米各国を回り、幕張メッセまで11カ所のワールドツアーを予定する。
ジャンルも国境も越えたBABYMETALの今後に期待!
著:酒井政利(さかい・まさとし) 和歌山県生まれ。立教大学卒業後、日本コロムビアを経てCBS・ソニーレコード(現、ソニー・ミュージックエンタテインメント)へ。プロデューサー生活50年で、ジャニーズ系・南沙織・郷ひろみ・山口百恵・キャンディーズ・矢沢永吉ら300人余をプロデュースし、売上累計約3500億円。「愛と死をみつめて」、「魅せられて」で2度の日本レコード大賞を受賞した。2005年度、音楽業界初の文化庁長官表彰受賞。